不妊治療を続けていると、「女の子が欲しいな」「男の子を育ててみたい」と思うこともありますよね。
ただでさえ妊娠できるかどうかの瀬戸際にいるのに、性別を選ぶことは現実的に可能なのかどうか…気になっている人もいるのではないでしょうか。
本記事では不妊治療をしながらの産み分けについて、現状の治療方法とそのメリット&デメリットをまとめて解説しています。
そもそも人工授精や体外受精を産み分けに使うことはできるのか、どれくらいの費用が必要になってくるのかを徹底的に解説しておりますので、気になる方はぜひご参考ください。
不妊治療をしながら産み分けはできるの?
体外受精で着床前診断を行えば、不妊治療をしながら産み分けをすることは技術的には可能だとされています。
しかし、日本産婦人科学会では着床前診断を産み分け目的で行うことは倫理上禁止しており、国内では利用できません。日本国内でできるのは、卵子と精子を受精させた受精卵の性染色体を着床前に調べて、男女の性別を見分けるところまでです。
不妊治療と並行でき、産み分け方法として正式に認められているものとしては「パーコール法」が挙げられます。
パーコール法は男性の精子を特殊な機械でX精子とY精子に分離させ、希望する性別に合わせて人工授精もしくは体外受精させるという治療方法です。日本で唯一産み分け治療として認められている方法ですが、成功率は決して高くはなく、かなりの治療費がかかるというデメリットがあります。
パーコール法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧になってください。
▶パーコール法とは? 治療費や成功確率について解説!知っておくべきリスクとは
いずれにせよ、不妊治療をしながらの産み分けは不可能ではないものの、かなり厳しい条件のもとで進めなければいけないということは覚えておきましょう。
人工授精・体外受精で産まれる男女の割合はどちらが多い?
結論から言うと、人工授精でも体外受精でも生まれてくる赤ちゃんの男女の割合はほとんど変わりません。
人工授精や体外受精を実施している産婦人科のデータを調べてみたところ、どのクリニックも男の子・女の子の割合はほぼ半々でした。
参照:英ウィメンズクリニック(https://www.hanabusaclinic.com/column/4420101/)
参照:医療法人ウェルビーなかむらレディースクリニック(https://www.towako-nakamura.com/clinic/column/column-34/)
とりわけ人工授精は、精子を直接子宮内に注入する点を除けば自然妊娠と大きな違いはなく、産み分けの成功率に大きな変化をもたらすものではありません。
一般的に、自然妊娠で生まれてくる赤ちゃんの男女比は約105:100と、わずかに男の子が多く生まれる傾向にあるようですが、これは人工授精や体外受精でも同じです。
つまり、パーコール法以外の人工授精や体外受精を産み分けに使うことは、不確定要素が多い手段であるといえるでしょう。
人工授精による産み分けについて
メリット | 保険適用のため低コスト 自然妊娠に近い形で治療できる |
デメリット | 体外受精に比べて妊娠率が低い パーコール法は自費負担扱い |
費用 | 1周期:5,460円(保険適用) ※パーコール法は1回30,000〜50,000円 |
人工授精の特徴を一言で表すなら、性交渉の代わりのような治療法です。
男性の精液から優良な精子を選び取り、排卵期に合わせて精液を子宮内へ直接注入するため、性交障害や射精障害がある人でも体内受精での妊娠を目指せます。
性交障害や射精障害がある人にのみ認められている診療ですので、産み分けを目的とした受診はできません。
メリット
人工授精の最大のメリットは、低コストで身体の負担も少ないことから、気軽に何度でも試せることです。病院へ行くのは排卵日の前日か当日だけで、すべての治療が終わるまで半日もかかりません。
月に何度もご夫婦でスケジュールを合わせたり、治療前後の生活に支障が出ることもありませんので、気軽な気持ちで試せます。
デメリット
前の章でもお伝えしたように、人工受精は自然妊娠に近い形で治療をするため、妊娠率が劇的にアップするわけではありません。実際、体外受精に比べると人工授精の成功率はかなり低く、何度もトライしてやっと妊娠できたという人も多いようです。
排卵日に合わせて性行為をするタイミング法が効かなかった場合は、人工授精を利用してもあまり効果が見込めない可能性が高いです。
費用
人工授精は性交障害や射精障害がある人に向けたものなので、保険が適用されます。1周期あたり18,200円で、うち3割負担額の5,460円が費用となります。
ただし、産み分けのためにパーコール法で人工授精を行った場合は保険適用外となり、1回あたり30,000〜50,000円の受診料がかかります。
体外授精による産み分けについて
メリット | 妊娠率が比較的高い 高齢出産でも利用できる |
デメリット | 高額な費用がかかる 通院や麻酔が必要 |
費用 | (保険適用)1周期:100,000〜200,000円 (自費)1周期:300,000〜500,000円 |
体外受精では、女性から採取した卵子と男性から採取した精子を体外で受精させ、受精卵ができてから子宮内に戻すという治療方法です。
ちなみに人工授精との違いは、受精が体内で起こるか体外で起こるかというのがポイントとなります。人工授精では処理した精子を直接子宮内に注入しますが、体外受精では卵子と精子を治療室で合わせて受精させます。どちらの方法も、最終的には精子が自力で卵子に到達して受精するため、産み分けに影響が出ることはありません。
メリット
体外受精を行っているクリニックが公表しているデータを参照すると、体外受精の方が人工授精よりも妊娠率が高く、1回の治療で成功した人も多い傾向にあります。
※参照:産婦人科クリニックさくら(https://www.cl-sacra.com/archives/3548)
卵管に障害がある人や高齢出産にチャレンジしている人でも利用でき、不妊治療の最終手段として位置づけられているようです。
デメリット
体外受精の大きなネックは高額な費用がかかること。排卵1周期でおよそ30万〜50万円の受診料がかかるとされており、人気の産婦人科ではもっと高額になるケースもあります。保険が適用されたとしても10〜20万円くらいはかかりますし、1回で妊娠できない可能性もゼロではありません。
また、体外受精は頻繁に通院しなければならず、採卵時には痛みを伴うため麻酔が必要になることもあります。
費用
体外受精は自費負担の場合、1周期あたりでおよそ30万〜50万円の費用がかかります。2022年4月からは体外受精にも保険が適用される施設が増えてきてはいますが、いずれにせよ高額であることは確かです。
体外受精の進め方はクリニックによってばらつきがあり、予算の相場にもかなりの幅があるので、しっかりと比較してよく検討してから受診しましょう。
低リスク・低コストで始めたいなら産み分けゼリーがおすすめ
「まずは不妊治療を頑張りたいけど、どうしても女の子(男の子)が欲しい…」という人には、不妊治療と併用できる産み分け方法の一つとして「産み分けゼリー」をおすすめします。
産み分けゼリーとは、膣内のpH値を調整するゼリーを性行為前に注入することで、X精子もしくはY精子が優位になる環境をつくるというものです。女の子の場合は酸性に、男の子の場合はアルカリ性に調整することでそれぞれの精子が受精まで残りやすくなり、産み分けができる可能性をアップさせてくれます。
体内に服薬したり、排卵周期を変えたりするわけではないので、タイミング法を継続できるのはもちろん食事制限等も必要ありません。実際、産み分け指導の一環として産み分けゼリーを取り入れている産婦人科もたくさんあります。
費用も1回約2,000円から、ネット通販等で手軽に購入できるので、ぜひお試し感覚で始めてみてください。
不妊治療を活用した産み分けに関するよくある質問
最後に、不妊治療と産み分けに関連したよくある質問をまとめて紹介します。
- Q.体外受精と人工授精はどちらの方が産み分けしやすいですか?
- Q.人工授精で産み分けはできますか?
- Q.産み分けは違法ですか?
- Q.男女の産み分けは100%可能ですか?
不妊治療も産み分けもどちらもこだわりたいという方は、ぜひ目を通しておきましょう。
Q.体外受精と人工授精はどちらの方が産み分けしやすいですか?
人工授精も体外受精も赤ちゃんの男女比はほぼ半々です。人工授精は自然妊娠と同様、わずかに男の子が多く生まれる傾向がありますが、産み分けの成功率を劇的に変えるものではありません。体外受精でも人工授精でも、産み分けに大きな効果を期待するのは難しいでしょう。
Q.人工授精で産み分けはできますか?
産み分けを目的とした治療として認められている「パーコール法」なら、人工授精を使って産み分けができます。日本国内でも公認されている産み分けの手段ではありますが、成功率は高いとは言い切れないのが実情です。
パーコール法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧になってください。
▶パーコール法とは? 治療費や成功確率について解説!知っておくべきリスクとは
Q.産み分けは違法ですか?
産み分けをすること自体は違法ではありません。
倫理上の観点から日本産婦人科学会で禁止されているのは、着床前診断や人工授精を産み分け目的で行うといった、いわゆる「命の選別」に該当する産み分けです。
産み分けゼリーや排卵検査薬を使って、産み分けをしやすいよう調整することは法律的にも全く問題ありません。
Q.男女の産み分けは100%可能ですか?
男女を100%産み分けられる方法というのは現状存在しません。どの産み分け方法にも必ずレアケースがあり、希望する性別の赤ちゃんを必ず妊娠できるという保証はありません。
産み分けについて規制が設けられていないアメリカ等の海外なら、成功率が高い治療法もあります。
不妊治療を活用した産み分けについて | まとめ
以上、不妊治療を活用した産み分けについてのメリット・デメリットを解説しました。
技術的な観点からすると、不妊治療をしながら産み分けをすることは可能ですが、手段は非常に限られており成功率も決して高いとは言えません。体外受精や人工授精を使った産み分けとして唯一認められているパーコール法も有効ですが、自費負担となるので慎重に判断したいところです。
今後の方針について悩んだ時には、不妊治療と産み分けのどちらをより重視するのかしっかりと考え直したうえで、ベストな手段を選べると良いですね。「産み分けゼリー」等のアイテムも上手に活用しながら、後悔のない出産ができることを願っています。
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